永江 悠紀

打席の数がエンジニアの成長を決める

構造を捉え、意思決定を担う仕事

永江 悠紀 ソフトウェアエンジニア
Engineer

エムスリーテクノロジーズは、グループ会社のプロダクト・技術・組織を横断し、事業成長に必要な判断と設計を担うエンジニアリング組織です。単なる開発支援にとどまらず、課題が言語化されていない段階から関わり、構造を整理しながら事業そのものを前に進めていきます。今回は、複数の事業に横断的に関わり、課題の特定から意思決定、実行までを担う永江に、キャリアの選択理由や実際のプロジェクトの中身、そしてこの環境で得られる成長について聞きました。

多様なキャリアの中で見えてきたこと

これまでのキャリアについて教えてください。

エンジニアとしてのキャリアは約15年で、これまでに10社ほどを経験してきました。関わってきた業界も車、教育、医療、金融など幅広く、企業の規模やフェーズも中小企業からベンチャーまでさまざまです。

そのため、プロジェクトごとに求められる役割や期待値も大きく異なり、その都度、求められるアウトプットの質やスピードも変わってきました。ポジションも固定ではなく、データサイエンティストやデータエンジニア、エンジニアリングマネージャーなど、その時々で必要とされる立場で関わってきています。

特定の役割に閉じるのではなく、状況に応じて役割を変えながら価値を出していく経験が多かったと感じています。

そうした経験の中で気づいたのは、技術課題に見える問題でも、実際には組織やプロセスに起因しているケースが多いということです。単に実装を進めるだけではなく、問題の構造を捉え、どこに本質的な原因があるのかを整理しながら、どう変えるべきかまで考えることが、現在の仕事につながっています。

なぜエムスリーテクノロジーズを選んだのですか?

これまでの経験を通じて、自分が価値を発揮できる環境の条件が徐々に明確になってきました。その中でエムスリーテクノロジーズを選んだ理由は、大きく3つあります。

一つ目は、打席に立てる回数が多いことです。グループ会社ごとに異なる課題に対してプロジェクト単位で関わるため、半年から1年のスパンで複数の案件を経験することになります。その中で、課題の整理から意思決定、実行までを繰り返し経験できる点は、この環境ならではの特徴だと感じました。

二つ目は、関与の影響範囲の広さです。少人数でプロジェクトに入るため、自分の判断やアクションがそのままプロジェクトの進み方に影響します。責任は大きいですが、その分、改善がうまくいったときに自分の関与の意味を実感しやすい環境です。

三つ目は、グローバルな機会です。海外企業との接点も多く、今後も関わっていきたいと考えていた自分にとって、大きな魅力でした。

「自由」ではなく「進め方を自分でつくる」環境

入社後のギャップはありましたか?

入社前に抱いていたイメージと比べて、良い意味でのギャップは、想像以上に自由度が高かったことです。最初にどの会社に参画するかや優先度については相談して決めましたが、その後の進め方については細かく指示されることはほとんどありませんでした。

実際には、どこから手をつけるか、どの順番で進めるかを自分で判断しながら進めていくことが多く、裁量の大きさは感じています。

ただ、この自由さは単に任されているというよりも、進め方を自分で決めなければ前に進まない状態に近いとも感じています。誰かに判断を委ねるのではなく、どう進めるのが最適かを自分で考え、意思決定していくことが前提になっているため、想像していた以上に責任の重さが伴う環境です。

その意味で、「自由であること」と「意思決定の責任を持つこと」がセットになっている仕事だと感じました。

現在取り組んでいる仕事について教えてください。

現在はグループ会社支援でオペレーションのAI化に取り組んでいます。定型的な書類の処理やデータ入力業務など、これまで人が担っていた業務を生成AIやAI-OCRによって自動化するプロジェクトです。

想定通りに立ち上がるかどうかを見極めながら、現場の運用や業務全体への影響も踏まえ、段階的に進めていく必要があります。

これまでの開発では、うまくいかなければ別の方法に切り替えることも可能でしたが、今回はオペレーションに直接影響するため、極めて慎重な判断と段階的な導入が不可欠です。

だからこそ、現場の業務プロセスを深く理解した上で、どこまで自動化するか、どの条件なら成立するかといった判断一つひとつに、より強い責任を持って向き合っています。

正解がない中で、構造を捉え、意思決定する

印象に残っている判断の場面を教えてください。

特に印象に残っているのは、基幹システムの刷新プロジェクトの方針を見直したことです。当時はすでに半年以上プロジェクトが進行している状況でした。

そのタイミングで途中から参画し、全体の進め方や設計を見ていく中で、より成果につながりやすい進め方に見直せる余地があると感じました。ただ、この段階で方針を変えることは簡単ではなく、関係者も多いため、慎重に進める必要があります。

そこで、続けるかやめるかという二択ではなく、どうすれば実行可能で成果の出る形に再設計できるかを整理しました。分割の単位や優先順位、改善効果を具体的に検討し、現実的に前に進められる形に落とし込んでいきました。

結果としてプロジェクトは再編され、現在は以前と比べて約3倍のスピードで進行しています。この経験を通じて、大きなプロジェクトほど途中での設計見直しが重要だと実感しました。

この仕事の難しさと面白さはどこにありますか?

最も難しいと感じているのは、技術課題に落とし込む前の段階です。エンジニアとしては、与えられた課題を技術で解決することには慣れていますが、この環境では、そもそも課題が明確に定義されていない状態から関わることが多くあります。

そのため、まずは何が問題なのかを整理するところから始まります。業務のどこに課題があるのか、組織としてどこがボトルネックになっているのか、プロセスのどこで滞っているのかを、構造として捉えていく必要があります。

実際には、技術的な問題に見えていても、その原因が業務フローや役割分担にあることも多く、技術だけで解決しようとしてもうまくいかないケースも少なくありません。

だからこそ、どの粒度で問題を捉えるべきかを整理した上で、初めて技術に落とし込んでいきます。このプロセスには難しさがありますが、適切に整理できたときに、プロジェクトが一気に前に進む。その瞬間に、この仕事の面白さを感じています。

「右腕」から「方針を決める側」へ

成長の実感はありますか?

はい、成長は感じています。これまでのキャリアでは、誰かが決めた方針を実行する立場、いわゆる右腕のような役割を担うことが多くありました。一方で現在は、事業や組織の全体最適を見据えながら自分で方針を決め、その内容を経営層を含む関係者と合意形成し、実行まで推進していく立場に変わっています。

特に大きいのは、「どう進めるか」を自分で決める必要がある点です。課題の整理から方針の設定、優先順位の決定までを一貫して担うため、その判断がプロジェクトの進み方や結果に直接影響します。その分プレッシャーはありますが、意思決定の重みを実感する場面も増えました。

どのような前提で判断すべきか、どの情報をもとに意思決定するかといったことを考える機会が増え、結果として意思決定に関する経験は確実に積み重なっていると感じています。この変化自体が、自分にとって大きな成長だと捉えています。

この環境にマッチする人はどんな人ですか?

一言で言うと、「CTO意識がある人」だと思います。

エムスリーテクノロジーズの仕事は、単に技術を実装するだけではなく、事業や組織の状況を踏まえて、どう進めるべきかを自分で考えて決めていく必要があります。あらかじめ正解が用意されているわけではないため、技術だけでなく、全体を見ながら判断する視点が求められます。

その中で特に重要だと感じているのが、コミュニケーション、意思決定、コミットメントの3つです。経営層や現場など立場の異なる人の間に入り、前提を揃えながら進めること、情報が十分でない中でも優先順位を決めること、そして決めたことを最後までやり切ることが必要になります。

一方で、明確に定義されたタスクを進めることや、技術の領域に集中して取り組むことを重視する方にとっては、難しさを感じる場面もあると思います。自分で課題を見つけ、判断しながら進めていくことに面白さを感じられるかどうかが、この環境にフィットするかの分かれ目になると感じています。

短期間で意思決定を繰り返す経験が積める

最後にメッセージをお願いします。

この環境で2〜3年取り組むと、得られる変化は大きいと感じています。エムスリーテクノロジーズでは、短期間で複数のプロジェクトに関わるため、課題の整理から意思決定、実行までのプロセスを繰り返し経験することができます。

実際に自分自身も、1年の中で複数のプロジェクトを経験してきましたが、体感としてはそれ以上の密度で経験を積めていると感じています。もちろん大変な部分もありますが、その分、どのように判断するか、どう進めるかを考える機会が圧倒的に増えました。

こうした経験は、今後どのような立場で仕事をする場合でも活きるものだと思います。自分で考え、決めて、進める力を身につけたい方にとっては、大きな成長機会のある環境です。そうした志向を持つ方と、一緒に取り組めたら嬉しいです。

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